『ダンダダン』作者・龍幸伸とは？経歴・代表作・創作秘話を徹底解説｜生みの親の軌跡と創作の原点を探る

p>『ダンダダン』の作者・龍幸伸（たつ ゆきのぶ）氏は、埼玉県出身の漫画家で、2010年に「正義の禄号」でデビューを果たしました

その後、藤本タツキ氏（『チェンソーマン』）や賀来ゆうじ氏（『地獄楽』）のアシスタントを経て、2021年より『少年ジャンプ＋』にて『ダンダダン』の連載を開始し、瞬く間に人気作となりました

影響を受けた作品や創作秘話から絵の魅力まで、龍氏の“創作の源泉”を多角的にひも解いていきます

龍幸伸のデビューと来歴

龍幸伸氏は、埼玉県出身の漫画家であり、独学で絵を学びながらも、少年漫画界に鮮烈な印象を残してきました。

彼のキャリアは、偶然の勧めから始まったものの、後に多くの読者や編集者から高く評価されることとなります。

その歩みは“努力と適応”の積み重ねであり、漫画家という職業への確かな覚悟を感じさせるものでした。

埼玉県出身、2010年に「正義の禄号」でデビュー

龍幸伸氏は2010年、『月刊少年マガジン』にて「正義の禄号」で連載デビューを果たしました。

少年時代から絵を描くことは好きだったものの、漫画家を目指していたわけではなく、20代のアルバイト時代に店長から「漫画を描いてみては」と勧められたことがきっかけでした。

その後、持ち込みを続ける中で佳作を受賞し、本格的に漫画家としての道を歩み始めました。

「正義の禄号」では、引きこもり少年がサイバー空間で戦う設定が描かれ、初連載ながら強烈な世界観が注目を集めました。

アシスタント修行：藤本タツキ氏・賀来ゆうじ氏の下で鍛えられる

連載終了後、龍氏は漫画表現をさらに深めるため、『チェンソーマン』の藤本タツキ氏や『地獄楽』の賀来ゆうじ氏のアシスタントとして活動します。

この経験が彼の転機となり、「自分が面白いと思うものを、楽しく描く」という姿勢に刺激を受けたといいます。

また、曽野由大氏の現場で学んだ基礎技術や、「つけペンの使い方からベタ入れまで」徹底して教えられた日々は、龍氏の職人としての土台を形成しました。

この“修行期間”こそが、後の『ダンダダン』の画力と構成力に繋がる重要な基盤となっています。

『ダンダダン』誕生と連載の背景

『ダンダダン』は、ジャンプ＋に新たな衝撃をもたらした作品として、多くの読者を魅了しています。

この作品の誕生には、作者・龍幸伸氏の過去の挫折や再起、そして編集者との信頼関係が色濃く反映されています。

ただのオカルト漫画では終わらない、多層的な物語とユーモアが融合した作品として誕生しました。

2021年4月、『少年ジャンプ＋』で連載開始

2021年4月、集英社の電子プラットフォーム『少年ジャンプ＋』にて『ダンダダン』の連載がスタートしました。

構想のきっかけは、映画『貞子vs伽椰子』の「化け物には化け物をぶつける」という台詞で、“ターボババアの力でオカルトに挑む”という斬新な着想に結びついたのです。

ホラーが得意ではない龍氏でしたが、その“馬鹿っぽさ”にある種の自由さを見出し、気負わず描くことで独特の作風が確立されました。

結果的に、『ダンダダン』は連載初期から100万PV超えを連発するほどの爆発的人気を獲得し、ジャンプ＋の看板作品のひとつに成長しました。

“怪異×青春×希望”を描く新感覚オカルティックアクションとして支持を集める

『ダンダダン』が評価される最大の理由は、怪異・霊・UFOといったオカルト要素と、青春の瑞々しさが見事に融合している点にあります。

ストーリーは一見シリアスでホラー要素が強いものの、ユーモアとラブコメの要素も絶妙に織り交ぜられ、読者を惹きつけてやみません。

キャラクターたちが抱える孤独やトラウマを通じて描かれる“希望”の感情も、読後にポジティブな余韻を残すポイントとなっています。

ジャンルの枠を超えた“新感覚オカルティックアクション”として、マンガ賞でも高い評価を受け、アニメ化も決定するなど、勢いは止まりません。

影響を受けた作品と創作のこだわり

龍幸伸氏の作品づくりには、多くの漫画や映画からの影響が深く刻まれています。

幼少期の模写体験から、後のプロ作家たちへの憧れまで、彼のクリエイティブの源泉は多岐にわたる文化と体験に根ざしています。

特に、ビジュアルと構成の両立に対するこだわりは、彼の作品に高い“完成度”をもたらしています。

三浦建太郎『ベルセルク』や尾田栄一郎『ONE PIECE』への憧れ

中学生時代、龍氏は三浦建太郎『ベルセルク』や皆川亮二『ARMS』など、アクション性の強い作品に深い影響を受けました。

特に『ベルセルク』については、「何度読んでも感動する漫画」「世界観の作り込みが圧倒的」と述べており、自身の作画にも影響を与えています。

“絵で語る力”を持つ作家へのリスペクトが、現在の細密で迫力ある描写につながっているのです。

また、尾田栄一郎氏や大友克洋氏など、多様なスタイルの漫画家にも触れ、「描き込みがうまい人が好きだった」と語っています。

「貞子vs伽椰子」の発想にヒントを得たアイデアの源泉

『ダンダダン』の根幹にあるコンセプトは、映画『貞子vs伽椰子』にインスピレーションを受けて生まれたものです。

「化け物には化け物をぶつけるんだよ」というセリフが、ターボババアの力で怪異に立ち向かうという物語構造に結実しました。

ホラーが得意でなかった龍氏が、「ばかばかしいけど面白い」と感じたこの映画が、彼に創作への自由さと遊び心を取り戻させたのです。

この感覚は『ダンダダン』の随所に活かされており、シリアスとユーモアが共存する絶妙なバランスが物語の魅力を際立たせています。

画力と表現力が評価される理由

龍幸伸氏の作品が読者や業界関係者から高く評価される最大の理由は、圧倒的な画力と“読ませる”表現力にあります。

絵の力だけで物語を展開できる稀有な才能は、数多くの作品の中でもひときわ異彩を放っています。

その背景には、アシスタント時代に培った技術と、緻密な構成への強いこだわりがあります。

細密な背景描写と動きのあるコマワーク—業界関係者からも高評価

藤本タツキ氏は「今、少年漫画でトップクラスの画力」と絶賛しており、賀来ゆうじ氏も「総合的な画力が最も高い人」と評しています。

特に、背景の描き込みや構図のセンスは、静止画でありながら“動いて見える”ほどの躍動感を持ち合わせています。

そのためバトルシーンでは、視線の誘導や臨場感が極めて高く、読者をページの中に引き込む力があります。

この表現力はスマートフォンでの読書を前提としたジャンプ＋においても、特に見開き演出の効果を最大限に発揮しています。

恐怖とユーモアの緩急、そして緻密な構成が生む独自の世界観

龍氏は「ホラーとギャグは隣り合わせ」と語っており、『ダンダダン』ではこの要素が巧みに交錯します。

読者を緊張させた直後に笑わせる構成力は、作品に独特のリズムとテンポをもたらしています。

また、キャラクターのセリフ一つひとつにも“リアリティ”を追求しており、「このキャラならこう話すはず」という姿勢で練り上げられた台詞回しが共感を呼びます。

それらを支えるのは、ストーリー全体を意識した緻密な設計と、場面ごとの“見せ場”への計算された演出であり、読むたびに新たな発見があるのです。

まとめ：「『ダンダダン』作者・龍幸伸」が描く創作の構造と魅力まとめ

龍幸伸氏は、キャリアの初期から一貫して“描くこと”への探究心と真摯な姿勢を貫いてきました。

デビュー作『正義の禄号』から現在の『ダンダダン』に至るまで、表現手法の深化とジャンル融合の巧みさが進化し続けています。

その作品には、どこかしら泥臭さと遊び心が同居し、読者の心をとらえて離しません。

アシスタント時代の経験や、『貞子vs伽椰子』にインスパイアされた発想の自由さなど、ユニークな創作背景が多くの“発明”を生んでいます。

そして何より、緻密な絵、テンポの良い展開、個性的なキャラたちが一体となることで、漫画としての純粋な“面白さ”が生み出されているのです。

『ダンダダン』は、“怪異と青春”を軸にした唯一無二の漫画体験を提供しており、今後の展開にも大きな期待が寄せられています。

その中心にいる龍幸伸氏の“描き続ける姿勢”こそが、作品の熱量と説得力を支えているのだと強く感じさせられます。